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  • 千葉県の下水緊急点検

    2025年1月28日に埼玉県八潮市で起きた道路陥没事件を受けて国土交通省より2025年1月29日付で「下水道管路施設に対する緊急点検について」という連絡が発出された1。「流域下水道管理者が管理している管路」かつ「晴天時の最大処理量が30万㎥以上の大規模な処理場に接続する」かつ「口径2,000㎜以上の管路」2を対象に緊急点検を行い報告をするように要請するものだ。

    2月上旬現在八潮市の事例では落下した運転手の捜索を現場では打ち切った程度でまだ事故の原因解析はできていない。そのため点検自体がおろそかになっていたのか、それとも点検自体はできていたのに従来の点検手法では見逃してしまうような事故原因だったのかすら定かではなく、事故の総括後に判明した重点をおさえた点検をすることが確実で二度手間になることからおおむねコストを抑えた点検をしているようだ。

    千葉県も例外ではなく、『下水道管路施設に対する緊急点検及び路上からの空洞調査について』で公表するように条件を満たした規模の大きいマンホールの点検と道路の目視点検を行って国に報告をしている。点検位置を見ればわかる通り、人口最大地の千葉市すら半分以上は点検の対象外となっている。確かに県の下水道課は市町村をまたがる下水のみを対象としており市町村単独のものは各市町村に任されているとはいえ県の責任範囲の手賀沼流域周辺のマンホールなど一つも対象になっていない。緊急点検は本当に極一部だけを対象としていることがわかる。

    『千葉県汚水処理広域化・共同化計画』のような地図で公共下水道のある市町村が並べられている。このような地図では広域にわたって下水があるように見えるが、実際の下水道は人口密集地帯に限られており各市内で完結しているものがほとんどで今回の指定にある「流域下水道管理者」にはあたらない。そして人手不足に対処するための処理施設の統廃合もまだ計画段階であるため、太い管路を通して下水を遠くの処理系に送るところもないおかげで「口径2,000㎜以上の管路」という条件も満たさない。このような条件設定のためニュース等で「全国で緊急点検を行う」のように言われていても実際には全国のほとんどの下水道は特に緊急点検はされていないのである。

    1. 2月7日中野大臣会見要旨内(大臣から)埼玉県八潮市における道路陥没事故についてで言及、国土交通省サイト内では発表なし ↩︎
    2. 点検条件については神戸市等の他市町村に依る ↩︎